TENT LONDONというところ①

いつもの忘備録を書こうと思います。写真は出発の日の朝日。
帰国して一週間になるのでそろそろ一つづつ振り返ろうと思う。いい旅だったし、学ぶ事も多かった。今後の自分の人生にどう活かすかは自分次第なのでありのままに書き綴って想いに更ける。
これは学生有志チームMANGAKAが一年半にわたり準備を行い、自分たちで費用を出し合い海外出展をするという壮大な計画をサポートする事から始まりました。はじめた頃はメンバーもまだ入学間もなかったのにもうあと半年で卒業。学生のうちに大きな経験になればと思い無償で手伝う事にしました。詳しくは前のブログ「使用者が漫画の主人公になれる」をご覧ください。
9/15(月) 移動日 大阪→香港→ロンドン
天候は晴れ。絶好の出発日和。メンバーのみんなは楽しみにしているだろうか。朝早く起きてバスで関空へ。着くとすでに荷物をカウンター前まで上げてくれていて助かった。寝坊が怖くて数人のメンバーは寝ないという選択肢を選ぶ。若いとはこのこと。
今回はキャセイパシフィック航空を使っての旅。メンバー森脇さん(Mona)の叔母さんが旅行会社の方でチケット手配の一切を引き受けて下さった。とてもありがたい。チェックインカウンターが開くと同時に団体の受付へ。ここもミラノで学んだ事。「チェックインは最初に行け。そのために三時間前に空港に行け。」と言うのも、海外出展の最も難しい所は荷物に関する事。ここが最初の難関。
事前にAIRや船で送ってもいいが荷物が届かなかった事例もあるらしく、ミラノ同様に飛行機でオーバーチャージを支払って行く事にしました。そもそもすべての段取りが事前に送れるほどのスケジュールに完成していなかったのもありますが。ミラノの時の怖さもあって内心ドキドキしていたが案の定メンバー林さん(Minnie)の椅子三脚が32kg以上(39kgだったはず)となりあえなく受け取ってもらえず。どうすればいいのかわからないメンバーはそこで立ち止まっていた。数人のメンバーに指示を出す。急遽開梱し座面のアクリルのみ別梱包にする事に。このあたりに必要な現場感や臨機応変に対応する為の自主性などは今後じっくりお話する。
この記事を読んで今後海外出展の参考にされる方に伝えると、空港には荷物を梱包しなおせるコーナーがあり、そこで段ボールとエアパッキンなどを購入する事ができます。あせらず荷物を開き、詰めなおしましょう。と言う事で別梱包へ。中で暴れて壊れませんように。森脇さんの叔母さんの事前協力と前日荷物をしっかり削減してきたメンバーの努力も報われ、見事オーバーチャージ無しとなりました。執念とはすごいものでやればなんだってできる。見送りに来たご家族と分かれ飛行機に乗り込み、いざ香港へ。出国審査もゲートに行くのも手慣れた物です。コーヒー片手に。
美しく晴れた大阪の空を飛び、香港へ。
関空で荷物を預けたので、大きな荷物はロンドンまで航空会社が預かってくれる。長いトランジットだったとしても一度出す必要はないだろうし、今後行く人は出国一週間前くらいの日本語が通じるうちにカスタマーセンターと往復の綿密な打ち合わせをしておくといいと思う。
香港で簡単なセキュリティチェックがあります。まぁ当然の事ですが。荷物を一度全てスキャンしてもう一度詰めなおす作業。何事もなくここを通過する。飛行機のゲートまで近い事もあって余裕の行動ができた矢先、メンバー江川さん(Eva)の具合がおかしい。「携帯を無くしたかも知れません…」。海外でこれをするとかなり怖い。
考えられるのはセキュリティの所だと思った。ここのトランジットは90分と短いので実質1時間も空港に居れないので焦ってしまったのだろう。しかももうここは海外なので日本語は通じない。急遽一緒にセキュリティまで戻る事にした途中に空港職員に声をかけられる。どうやら顔を覚えていたらしく、探してくれていた。これはラッキーだったかもしれない。
海外出展は一度しているのでどのくらいの頻度でトラブルが来るかはおおよそわかっていたつもりだったが、前回を遥かにしのぐハイペースぶりに先が思いやられていたのは言うまでもない。まだ数時間ですでにニ件の大きなトラブル。無事に展示までいけるだろうか。一度落ち着き再び飛行機へ。ここからが長い。香港のHazyな空を飛びいざLONDONへ。
ここから13時間の旅。ロンドンの時差があるので気を付けなければ到着後時差ボケになる。到着する頃に夜になるわけなのであまり寝すぎてはいけない。むしろ寝ないくらいの選択肢で着けばアパートに着くころには眠さで起きてられなくなる。ぐっすり寝れば時差は無くなる。と言う事で映画三昧でロンドンまで。さすがに長いので途中ストレッチなどを行う。すこーしだけ寝たりとか。
さて、ロンドン。みんなも僕もすっかり疲れてしまった。ここで第二関門の入国審査。と言っても英語で簡単に質問され、それに答えるだけ。空港職員の方はだいたい怖い顔をしているが、まぁ悪い事をしているわけではないのでここは明るく。無事に入国し空港によくある大きなカート(MANGAKAではこれを荷台の親玉と呼んでいた)に大きな荷物を載せる。せっかくのプロトタイプなので丁重に扱いたい所。事前に航空会社に連絡する時には荷物リストがあるといいと思う。サイズがどのくらいで重量がどのくらいで中身は何か。そのリストがあれば多少トラブルがあったとしてもすんなり通れるし、荷物を受けとる時もチェックできる。
スタッフのENYAの友人で今はUKで先生をしているLISAが登場。今回の事前準備の色々を手伝ってくれたのはこのLISAである。後から登場するが僕らはホテルではなく、アパートを全員で借りて宿泊費を抑える作戦に出た。ロンドンは物価も高く、ホテルも高い。学生主体のリーズナブルな旅なのでそのあたりも出発の半年から三カ月前にはすでに手配していたし、そのアパートのチェックなどをしてくれていたのはLISAだった。ありがとう。
もう一つLISAが協力してくれた事。それは空港からアパートまで荷物と人員をどのように移動させるか。そこで今回はマイクロバスのようなものをチャーターした。全員で割れば割と安く、また荷物も安全に運ぶことができる。ミラノで白タクを使って三倍の料金を払ってしまった自分は、こんな素晴らしい物があるのかと驚いた。これも国内でENYAとLISAが協力して手配してくれた。いざマイクロバスが止まっている所へ。
海外の雰囲気に多少興奮気味ではあったが、長旅によりみんなの集中力が少し切れてきていたのだろう。その時だった。
ガチャン…!
歩道と車道のちょっとした段差が見えておらず、荷台の親玉から林のイスが落ちた。これはケアレスミス。もっともコストがかかっているプロトタイプがまだ展示会場に着くまでにリスクを追ってしまう。大きな荷物を運搬する時は二人は必要。もし居ないのであればかなりじっくり運ぶ他ない。椅子は心配だったが今開梱してもどうにもならないのでとりあえずアパートまで行くことに。
マイクロバスに到着し運転手と挨拶。さて積み込み。となった時に積み込んでいるのは運転手だけだった。ここは良くなかった。さっきの話に出てきた自主性は、今の全ての若い人には足りないのではないかと思うくらい誰も動かなかった。何してんだ、ちゃんと自主的に手伝えと大きな声で言い、メンバーを動かす。この旅はずっとこんな感じなのかと少し焦り、バスに乗り込んだ後少し彼らに対して怒ってしまった。今回のプロジェクトはそもそも自分たちが自主的にやりはじめた事だったはず。いつしか自分とENYAが入る事でそれがわからなくなってきていたのでは?
せっかくの楽しいはずのバスの時間を重い空気にしてしまった事を多少後悔したのは、今正直に話すが、それでもやはりそれぞれが得るものが無ければ旅なんて意味ないし、今までそうやって叱られた事がない事も外ではしっかりと叱られる。どんな経験でもしっかりと積む事。それが旅だと思う。ちなみに言うと僕は叱るのは好きではない。お互いに気分が悪くなるのはどんなことでも避けてなるべく楽しく過ごしたい。だけどこの瞬間は誰かがきちんと言わないとこの集団は何もできないと思った。旅の中で憎まれ役を買う事を決意した瞬間だった。言い方がきつかったかも知れない。そこは今反省する。
空港は西側に、僕らが住むアパートは東側にあり、ロンドン市内を横断するようなバスの旅。途中セントラル(中央)では有名百貨店のHarrodsや古い砦、自然史博物館などロンドンらしい風景にメンバーのテンションも少しづつ回復。マイクロバスでほんとに良かった。
さてアパートに到着。もう現地時間で24:00近かった。荷物を手早くアパートの地下一回にあるパティオの奥にメンバー全員で突っ込み、ENYAとLISAは近くのスーパーへ買い物に行ってくれた。メンバーは風呂に入ったり部屋でくつろいだり。多少談笑し、長かった初日を終える。
明日はいよいよ搬入。日本よりも涼しく、風が心地よい。ゆっくり寝れそう。