形態は摂理に従う。

LIVING&DESIGNとまちデコールという大阪のデザインイベントが集まる週間を概念的に「大阪デザインウィーク」と大阪のデザイナー達は呼んでいますが今年も来月その時期が来ます。ただ、今年はLIVING&DESIGN(10/30-11/1)とまちデコール(10/10-14)が少し時期をずらした開催となります。
昨年はこの時期に独立10周年を記念した個展「3650日のことばとかたち展」を開催しました。あれからもう1年経つと思うと恐ろしいですが、今年もどうにか展示を行うことができそうで何よりです。
イベントの詳細はもう少しまとまってから連絡しますが、グラスの展示をイタリアの盟友Francesco Fussiloと一緒にする予定にしてます。先日はその試作をしに大阪府は和泉市にあるガラス工房「Fresco(フレスコ)」へ行ってきました。
Frescoにはデザイナーズブローというプランがあり、こちらが描いた絵や図面を3時間かけて試行錯誤して形にしてくれます。2015年のミラノサローネに出展した数学的変化を持つグラスウェア「TRANS GLASS」、や、同年5月にツムテンカクというイベントで展示したワインのように日本酒を楽しむグラスウェア「Vino Riso」などでこれまでいくつもの試作をお願いし、その都度かなり難しい要求をしてきましたがそれらを魔法のようにクリアしてくれる強い味方です。
今回の試作の中で気づいたことを共有します。
Frescoが行っている宙吹きと呼ばれるグラスの成形方法において、デザイナーが使いがちなモダンなライン(直線や真円弧)などは出づらく、仕上がりにくい現象が起こります。宙吹きという技法との相性があまり良くないことを意味するのかも知れません。
それに対して、空気の力、重力、遠心力を使うことにより自然と生まれる形状は、どれも張りがあり美しく、面も滑らかに仕上がります。目の前で行われる魔法のようなワークショップの中でその瞬間に「あ!」と気づいた瞬間、3月にイタリアに行った時にイタリア人建築家のGianfranco Cavagliaさんが言っていた「形状は自然に任せる」という言葉を思い出しました。
自然が作り出す形状には、人口の線や面は勝てない。自然は摂理の中で最大に合理的な動きをし、それらは必然のカタチ。つまり宙吹きという技法は、自然をコントロールして行われる造形法であり、それに抗えば抗うほど良いカタチは生まれてこないということです。これはもしかすると陶芸などにも言えることかも知れません。
※上記のモダンなラインを使うには金型を作成し、近いですが別の方法により成型する方法であればきれいに出ます。
僕がデザインしたグラスは、2種類の工程を試していただき、言葉で説明すると同じ形ですが、それぞれニュアンスが異なる物が生まれました。特にコントロールしない技法から生まれた形状は滑らかで、ガラスの魅力を発揮する物となったと思います。展示ではおそらく両方を出しますので、このブログを見て下さった方は、その差異なども楽しんで頂ければと思います。
アメリカの建築家Louis Sullivanは「形態は機能に従う」といいましたが、同じくして「形態は摂理に従う」ということも言えなくもないなというお話です。