直線を用いて規律を作るということ。

今年も国際文具・紙製品展ISOTが閉幕しました。
まずはALIGN LINEについて。
世界最高峰の金属加工技術擁する、新潟は燕三条にある㈱タケダが主催するブランドTAKEDA DESIGN PROJECTにて、昨年発表したALIGN LINEに続く2ndコレクションを展示しました。ALIGN LINEの名前の由来は、商品の材料の元素記号であるALをイニシャルとし、真っ直ぐな線と言う意味を持っています。
自然界は常に自由に物はレイアウトされ、それこそ自然な形を常に更新し続けていますが人間だけがそれを整える感覚を持っています。それはまず背景として現代社会の建築や工業製品の多くが、生産や空間の効率を高める為に直線や平面を多く使っていると言う現状が存在します。ですが本来人間は動物であり、本能的にいけば自然なレイアウト(散らかす)事が当たり前の行動であるが故に何かと何かを一本のラインで揃えたり、一定の間隔で整えたり、端を合わせたりといった行為は人間しか行わない(行う必要がない)。そしてそういった事は簡単にできる事ではないからこそ、美徳(特に日本的な感覚かも知れませんが)であり一つの能力と定義されています。
そういった直線の持つ力を以て机上に規律を与える事をコンセプトとし生まれたのがALIGN LINEです。1stコレクションに続き、ディスプレイ台やメモパッドが登場しました。机上で色んな事が整えられるようにコレクションの幅が拡がりました。
秋田先生Primarioの新作のマガジンラックとローテーブルを展示していました。その二つは同様の生産方式を持ち、単純にサイズやバランスをコントロールするだけで二つの用途を満たすような提案でした。秋田先生の仕事にはいつも学びがあります。生産方式を揃えると言う事は生産側の負担を減らす事であり、それでいて生活者には二通りの使い方を提案している事は、その前後に対してメリットを創造している事に他ならず、それでいてスタイルが崩れない所に凄さを感じてなりません。無駄な力みの一切ない、あっけらかんとした素の姿と柔らかい力のかけかたにいつも脱帽です。
そして今回、新たに山口英文さんのメジャー(巻尺)が登場していました。メジャーは多くの設計者やデザイナーに重宝される有難い物のはずですが、これまでそのスタイルを尊重した物は生まれてこなかったように思います。巻尺は金属製のメモリが巻かれて持ち歩きやすくしたものです。つまり収納性が重要とされてきました。それ故に巻尺のデザインはあまり進化してきませんでしたが、山口さんのデザインにはその「巻く」メタファーを金属のスピン加工で表現する事で情緒的な「肯定的な納得」を生んでいます。MiLLiSECOND(ミリセコンド)という名前にも納得です。1/1000秒で魅了する。つまり一瞬でそれを理解させるという意味もあり、またMillは削るという意味もあります。アルミを削り出して、一瞬で魅了する物が、自分にはストンと腑に落ちました。物が溢れている時代にこの肯定的な納得を生み出すのは本当に難しい事だと思うのですが、それをデザインしてしまえる山口さんのすごさと、デザインから学ぶ事が多いと感じました。
ブースはインテリアデザイナーの大工真司さんがデザインし、展示什器は秋田先生とmilcaの共同開発によるものでした。その展示台の美しさに「これも売ってるのですか?」と問い合わせ頂く事もあったとか。TAKEDA DESIGN PROJECTは、秋田道夫さんと山口英文さんという著名な方が参加されており、そこに自分たちのような駆け出しが参加させてもらえるのは本当にありがたいです。生活者だけを見るのではなく、生産者も見る。また肯定的な納得を生み出す為に用途や素材との関係性を紡ぎだす。多くの学びと刺激がある特別な場所だと言う事を改めて感じました。
展示会も好評だったようで、国内外様々な場所からの問い合わせや注文が入っているとお聞きしてほっとしています。